2014年11月3日月曜日

大萩康司ギターリサイタル(特別ゲスト:福田進一)視聴記

11月3日、京都コンサートホールで開かれた大萩康司ギターリサイタルに行きました。時間になるとスタスタと大萩さんが登場しそのまま第1曲目を弾き始めました。
後半では福田進一さんが加わり「今まで私のコンサートには大萩君を呼んだのに、大萩君は自分のコンサートに私を呼んでくれなかった。今回、初めて呼んでもらえて嬉しかった」と爆笑を誘うトークが展開されました。

福田さん「大萩君が14歳で初めて会ったとき、真っ黒で表も裏も分からなかった」
大萩さん「ものすごく怖いおじさんだった」と22年前の話から始まり

大萩さん「今年は海外出張が多く、南米コロンビアやキューバへ行った」
福田さん「南米は誘拐事件が多い、コロンビアの首都ボコタは標高2,500mで行くだけで高山病になる。そのようなリスクのあるところは大萩君に行ってもらっている」
と、話は二人の良き師弟関係の近況まで至りました。
また福田さんの「ギターは南半球でも大変盛んだが、オーケストラは北半球が中心。著名なバイオリニストでも南半球へは行ったことがなくギタリストはうらやましがられている」という話は新発見でした。

演奏は前半が大萩さんの独奏。「シャコンヌの気まぐれ」(コルベッタ)、「3つのソナタ」(スカルラッティ)はチェンバロのように速いフレーズをよく通る音で、従来聴いていたより強弱をかけて演奏されました。
また、「亜麻色の髪の乙女」(ドビュッシー)と「亡き王女のためのパヴァーヌ」(ラヴェル)は甘くゆったりした演奏で、あまりにも静かに終わったので、拍手が起こらず大萩さんも立ち上がらずにそのまま次の曲に入るという一幕もありました。

福田さんが加わった「弦楽六重奏Op.18より主題と変奏」(ブラームス)は初めて聴く曲ですが、大変荘厳で旋律の劇的な上降、下降が繰り返される曲で、今回のコンサートで一番良かったと思います。
また「間奏曲ゴイエスカス」(グラナドス)はスタッカートするベースが支え続ける落ち着いた美しい曲ですが、この「ゴイエスカス」のニューヨークでの初演の帰路、グラナドスが乗船した客船が英仏海峡で撃沈され帰らぬ人となったという悲しい曲でもあるということでした。

アンコールでは福田さんの独奏も、ということで「11月のある日」(ブローウェル)が感性豊かに奏でられました。
先日、マヌエル・バビローニさんの演奏を聞いたところですが、バビローニさんが力強く激しさを持って、というのに対して大萩さん・福田さんは美しい音で繊細に、という感じで際立った違いがあるように感じました。
満足度の高い2時間半でした。

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